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スタッフ
【心に残る小説シリーズ】
『博士の愛した数式』──記憶は80分しか続かなくても、やさしさと数式は永遠に残る。
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どうも、BAROQUE男子スタッフです。
にぎやかな日常の合間に、ふと読み返したくなる静かな物語があります。
それが――小川洋子さんの小説、『博士の愛した数式』。
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■ 記憶が80分しか持たない博士と、家政婦とその息子
事故の後遺症で、新しい記憶が80分しか保てなくなった数学者。
そんな博士の元に派遣された家政婦と、彼女の息子・ルート。
言葉少なに、数式を通してつながっていく3人の静かな日々。
最初は不器用な距離感だった彼らが、
ひとつひとつの数字と想いを重ねていくうちに、
**「家族のようなぬくもり」**が生まれていく過程が、本当に美しい。
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■ 数式が人の心をつなぐということ
博士にとって、言葉よりも、記憶よりも確かなものは「数式」だった。
「素数には、どんな数にも割り切れない孤独な美しさがある。」
このセリフは、彼自身の生き方そのもの。
誰ともつながれず、過去も未来も見えないなかで、
それでも毎日人を信じ、愛し、数学で世界を語る。
数式が冷たいものだなんて、とても言えない。
この物語では、数式こそが最も温かくて、まっすぐな心の言葉だった。
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■ 忘れてしまっても、消えないものがある
博士は記憶を失っても、
ルートに向けるやさしいまなざしだけは変わらない。
家政婦との関係も、毎朝まっさらな気持ちで大切にする。
“記憶がない=愛せない”ではない。
この作品は、そう教えてくれる。
忘れてしまうからこそ、今日を大事にする――
そんな生き方が、ページの中で静かに息づいている。
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■ 誰にも割り切れない“素数”のような人生も、きっと美しい
孤独な博士。
控えめな家政婦。
どこか寂しさを抱えた少年。
どれも“割り切れない”存在だった。
でも、その3人が共に過ごす日々が積み重なったとき、
“誰にも割れない数”だった素数が、
世界で一番あたたかな形に変わったような気がした。
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『博士の愛した数式』は、「人と人のつながり」が、
記憶や理屈を超えて生まれることを、そっと教えてくれる物語。
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